服部奨学金に応募したきっかけ
もともとマレーシア政府から月5万円の奨学金をもらっていたのですが、給付期間は大学4年間まででした。
大学院進学後はもらえなくなるので、別の奨学金を探していたとき、服部奨学金を見つけました。
私は留学したくて奨学金を探し始めました。でも、国籍の条件で応募できないものばかりだったんです。
諦めかけていた時に、服部財団にいる友達が「服部奨学金は国籍の条件がない」と教えてくれて、応募しました。
服部奨学金の場合、国籍の縛りがないのがいいですよね。私も1年生の頃は、大学で公開されている奨学金情報をかなりチェックしていて、そのほとんどに「日本国籍を有するもの」という条件がありました。
まず、スタートラインに立つまでに障壁がある。
本当にその通りです。
私もかなり探しましたが、条件に合って応募できたのは服部財団だけでした。
「やっと国籍の縛りがない奨学金を見つけた!」と本当に嬉しくて、すぐに応募しました。
みなさんはいつから日本に?
私は留学ではなく、両親の仕事の関係で、7歳のときからずっと日本にいます。
ですので、一番話せる言語は日本語なんです。
そうなんですね。 私はマレーシアでも田舎町の出身ですが、
成績優秀者としてマレーシア政府から奨学金をもらって、日本に留学したいという想いから日本語の勉強を始めました。
留学したいと思ったきっかけは何だったんですか?
もともと『ドラえもん』が大好きだったんです。
それが日本に興味を持ったきっかけですね。
『ドラえもん』がきっかけで日本へ留学!
おもしろいですね!
よく言われます!(笑)
『ドラえもん』って、ひみつ道具がいっぱい出てくるじゃないですか。
あの衝撃は、日本でエンジニアを目指すには十分すぎるものでしたね。
日本語はどれくらい勉強したんですか?
日本に留学する一年くらい前から勉強を始めました。
日本に来たばかりの頃は、読み書きはできても聞き取りができなかったのですが、
日本の友達はみんな優しくて、たくさん助けてもらいました。
服部奨学生も本当にみなさんいい方ばかりですし、日本に来てよかったなと改めて思います。
服部財団の行事やイベントで、印象に残っていること
私にとっては「服部奨学金授与式(2023年5月20日、名古屋マリオットアソシアホテルにて開催。参加者144名)」ですね。
採用された奨学生が最初に参加する公式行事です。
ランチはフレンチのコースをいただいて、夜は「ミッドラントスクエア」の屋上でバーベキューをしました。
授与式は最初の衝撃ですよね。
食事のテーブルに「本日のメニュー」が置かれていて、そこに自分の名前が書かれているなんて、人生で初めての体験でした。
こういう経験をたくさんさせていただくと、価値観が更新されますね。
私はずっとトルコのボアシチ大学に留学していたので、
最初の一年間はイベントに参加できなかったのですが、帰ってきてからは参加しています。
特に何が楽しかったですか?
京都の研修旅行(2023年8月29日。参加者30名)ですね。
最初は、たとえば京都といえば清水寺というような、いわゆる普通の旅行だろうなと思っていたんです。
でも、八ツ橋を作る体験ができたり、ランチは川床料理で、河原に張り出した桟敷で涼みながら豪華な食事をいただいたりと、
新しい世界を覗くことができて、本当に楽しかったです。貴重な経験になりました。
私は、宇宙飛行士の毛利衛さんの講演会(「服部国際奨学財団創立15周年記念講演会」。
2023年11月25日、名古屋マリオットアソシアホテルにて開催。参加者186名)がとくに印象深いです。
直接お話することもできて感激でした。奨学生たちのいろいろな質問にも答えてくださって、とても刺激をもらいました。
服部奨学金があったから叶ったこと、実現できたこと
やはり、奨学金のおかげで経済的な余裕ができたことは、とてもありがたいです。
学部入学当初から「絶対に大学院へ行きたい」と思っていて、
院生になったときに困らないように、アルバイトに励みながら貯金してきました。
今はアルバイトの時間を研究に充てることができています。
私も今はアルバイトをしていなくて、勉強や研究、就職活動に集中して取り組めています。
奨学金のおかげで経済的な余裕ができたのはもちろんですが、服部奨学生のみなさんとの出会いは、
私にとって、とてもかけがえのないものになりました。
ここで会える人たちは、みなさんすごい研究に取り組んでいる人ばかりで、いつもとてもいい刺激をいただいています。
私は外国語大学に在籍しているので、大学には文系の人しかいないんです。
そもそも理系の方と関わる機会がなかったのですが、服部財団ではいろんな分野の人に会えるのがとにかく嬉しいです。
そう!
大学で生活しているだけでは出会えない人に出会えるんですよね。
私も高専出身で、ずっと工学系の人たちとばかり関わっていたので、文系の友達ができたのはここが初めてです。
普通は自分の学部に関係ある人としか関わらないけど、服部には歴史研究をしてる人もいるし、医学系の人もいる。
奨学生のみなさんと話していると、自分自身の視野が広がりますし、「こんな研究もあるんだ!」と、いつもとても勉強になります。
しかも、その分野のプロフェッショナルばかりが集まっている。そんな人たちと会話できるのは、とてもいい経験になります。
服部奨学生には、留学生も日本人もいますし、留学生の中にもアフリカ、アジア、ヨーロッパと、
さまざまな国や地域から学生が集まっています。
日本人もいろんな地方から集まっているので、文化的な交流がすごく豊かだと思います。
話しているだけでも新しい発見があるというか、新しい世界に出会える感じがします。
それぞれバックグラウンドが違うので、誰と話していても、自分が知らない話を聞くことができる。そんな面白さがありますよね。
そうそう。
それが単純に楽しいというのもありますし、
あと、これは私だけかもしれませんが、外国人が多いとちょっと嬉しくなったりします。
それは、とてもわかります!
仲間感がありつつ、新しい文化や多様性にも出会える場所。
服部財団は、新しい自分の居場所ですね。
クロストーク終了後、今後の夢と展望について伺いました
やりたいことがたくさんあるのですが、最終的には経営者になりたいと思っています。
自分の考えや思想が投影される組織を持ってみたい。個人的には教育分野に一番興味があります。
私のバックグラウンドはITやAIなので、それも絡めて教育、特に幼児教育の分野で、社会貢献できる会社を立ち上げたいです。
私の夢は、生産設備の設計・管理を専門的に行う技術者、プラントエンジニアになることです。
日本でいろいろな経験を積んで、母国マレーシアと日本の橋渡しとなって活躍したいと思っています。
国際開発に興味があるので、将来的には国際機関で働きたいと思っています。
近年増加の一途を辿っている移民、特に難民の方々を助けたいからです。
私自身も移民なので、今度は自分がいろいろな知見や経験を積んで、困っている人たちの役に立ちたいです。