服部国際奨学財団

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「一人でも多くの若者が夢をかなえられるように」と、返済不要の給付型奨学金で学生支援を行う服部国際奨学財団。2008年から優秀でありながらも経済的理由などで修学が困難な大学生に対して奨学金を給付しています。 同財団の瀬田大理事長に、これまでの支援活動の内容や服部奨学生への期待、またコロナ禍が続く中での服部国際奨学財団の活動についてお話を伺いました。

コロナ禍の中での服部国際奨学財団の活動

「2020年2月から新型コロナウィルス感染症拡大という未曽有の事態が発生していますが、その中でも服部国際奨学財団はどのような活動をされてきましたか?」

例年ですと年4回の服部奨学生同士が交流、歓談できる行事を実施していたのですが、コロナウィルス感染症拡大とそれに伴い2020年4月に発出された緊急事態宣言により、行事のほとんどは中止もしくはオンライン開催を余儀なくされました。

まず、2020年2月に予定していた修了式がオンラインに切り替わり、春の入団式、夏頃に予定していた研修旅行が中止。文化講演会という毎年行っていた有識者による講演会もオンラインでのビデオ講演となりました。

そのようなコロナ禍の中でも、オンラインによる小規模な交流会を数多く実施してきましたが、どうしても例年のような対面での交流は難しい状態でした。事務局員から報告があったのですが、服部奨学生、特に新大学1年生から「キャンパスに行けないから大学生になった気分がしない」「友人を作ることができない」と言う悩みが多く寄せられたとのことです。

そういった事情を鑑み、大学一年生の服部奨学生を中心に集めた行事を行いたいと考え、交流、研修を目的とした交流会を2020年11月に開催しました。当日はFDAのキャビンアテンダントによる身だしなみ・マナー講座を実施し、飛行機をチャーターして名古屋から富士山までの遊覧飛行ツアーを行いました。感染症対策を徹底したため一人の感染者も出すことなく、行事を行うことができました。

後日、服部奨学生から届いたレポートにも、「非日常的な経験を他の服部奨学生と一緒にすることができとても楽しかった。」「身だしなみについてしっかり教えてもらえたのは初めてだったので、今後の就活などに活かしていきたい」といった感想が書かれていました。

仲間とのコミュニケーションを大切に

「服部奨学生同士が交流できる行事を多数開催しているのですね。」

服部国際奨学財団では優秀で経済的に支援が必要な学生に月額10万円、年間120万円の返済不要の給付型奨学金を給付することが最も重要な活動ですが、服部奨学生になったからこそできる体験や学習で知見を深め、同じ服部奨学生、OBOG、そして事務局員を始めとした財団関係者と交流し絆を深めてもらうことも重要視しています。その機会を作るために、これまでも様々な行事を開催してきました。それも服部国際奨学財団の特徴の一つです。

「服部国際奨学財団の行事には理事長も参加されているのでしょうか?」

はい、時間の許す限り参加しています。服部国際奨学財団の行事の中で最も大きなものは研修旅行ですが、2班に分かれて行いますので、どちらかに日程を合わせて参加します。これまで広島、大阪、東京を始め日本各地に行きました。1泊2日ですが、充実した研修旅行です。
例えば東京での研修旅行では帝国ホテルに宿泊し、翌日にはスカイツリーを見学したり、伊勢ではホテルでマナー研修をしました。また旅行中は必ずグループワークを実施し、テーマに沿って学生同士が議論し、結論を発表する時間を設けています。ただの観光旅行ではなく、奨学生にとっての学びの機会となるようにしています。また研修旅行に限らず、財団の行事は全て無償で行っており、奨学生の負担は一切ありません。
 他にも研修旅行などの大型の行事だけでなく、年間を通じて事務局で小規模な交流会が開催されており、そこで昼食を取りながら服部奨学生同士で近況を話し合ったり、事務局員が学生生活について話を聞いたりしています。

明確な目標を持った学生は積極的にサポートしたい

「服部奨学金に応募してくる学生にはどのような印象を受けますか?」

やはり、「好きなことを学びたい」という勉強に対する明確なビジョンを持っている方が多い印象があります。高校生でも特に理系の学生は学びたいテーマをかなり絞れていますね。明確な目標を持った学生はサポートしたいと考えています。もちろん成績や家庭事情などのバックグラウンドも考慮して選考を行っていきます。 また、大学に入ったばかりで卒業後のビジョンがまだ確立しきれていなかったり、大学生活を送る中で多くの刺激を受けて将来の目標が変わっていくこともあると思います。それはとても自然なことだと思っています。ただ、その時点で抱いている目標に対してどれだけ真剣に向き合っているかはしっかり見ていきたいと思っています。

「サポートとおっしゃられましたが、大学生ですと留学を希望される方も多いと思います。奨学金給付だけでなくそのような海外留学への支援もあるのでしょうか?」

はい、服部国際奨学財団では服部奨学生の海外留学も推奨しており、それに対してのサポートも可能な限り行っています。様々な情報があふれていて判断が難しいと思いますが、自分でしっかりと留学について調べて欲しいと思います。機会があるならチャンスを逃さずチャレンジして欲しいですね。2020年はコロナ禍の影響で留学を断念せざる得なくなった服部奨学生も多くそれが残念です。

「やはりコロナ禍の影響は大きいのですね。今回のコロナ禍もそうですが、創設から3年目に発生した東日本大震災も未曽有の事態だったと思います。その時も服部国際奨学財団の活動には影響があったのでしょうか?」

はい、実は震災をきっかけに、日本人の服部奨学生への採用が始まりました。もともと服部国際奨学財団は、経済的に支援が必要なアジア諸外国からの留学生たちを援助することにより、日本とアジアの架け橋となる人材を育成することを目的として創設されました。創設以来、留学生のみを対象として服部奨学金の給付を行っていましたが、震災により多くの日本の学生が修学を断念しているという報道を受け、日本の大学生にも支援が必要であるという考えが生まれました。それをきっかけとして2013年に日本の大学生への支援も始まりました。そして2014年には大学進学を目指す高校3年生への募集活動も開始しました。
もちろん日本で勉強している留学生の中にも支援を必要とする方も多くいます。そういった留学生の方を援助するために大学事務局とも連携し学生募集を続けています。また留学生支援に関してもここ数年で大きな変化がありました。早稲田大学から難民の学生を4名を推薦していただいたという変化です。日本政府は母国の内戦等から逃れて最終的に日本にたどり着いたという方を難民として受け入れています。彼らと話してみると、グローバルな課題に取り組みたいという夢があり、その為に日々研究に取り組んでいることが分かります。

「彼らにも明確な夢や展望があるんですね。」

ええ、そうなんです。服部奨学生の中には、日常であまり耳にしたことがない国から来ている留学生もいます。彼らもまたそれぞれ明確な夢や目標をもって学業、研究に取り組んでいます。

卒業後もつながりを持ち、さらに絆を深めていく

「服部国際奨学財団を卒業したOBOGについても教えてください。」

これまで服部国際奨学財団の活動を14年続けてきました。現在在籍している服部奨学生は約150名ですが、OBOGは500名から600名近くいます。服部国際奨学財団では彼らとの繋がりも大切にしています。

大学や大学院を卒業し、社会に出ると学生の頃にはなかったような様々な試練に立ち向かわなければなりません。そんな時も服部国際奨学財団が彼らの拠り所になれればと思っています。OBOG同士、あるいはOBOGと服部奨学生が交流する場を作ることで、困難を分かち合い、また立ち向かっていこうという英気を養ってもらえたらと思います。

また、この交流は現役の服部奨学生にとっても就職や研究活動、大学生活のアドバイスを貰うことのできるとても貴重な機会になっています。これまでも服部国際奨学財団主催でOBOGを講師に招いての就活セミナーや交流会を実施してきました。最近ではOBOGや服部奨学生が自主的にそういった活動を始めています。

交流で得られる情報や繋がりそのものが、将来、服部奨学生と服部国際奨学財団の財産になります。今後もこの繋がりをより深めていくことができるよう、服部国際奨学財団としてもサポートしていくつもりです。

瀬田 大

島田大輔さん

岡田杏梨さん

西本圭那さん

REGMI UTSAVさん