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コラム

 アジア諸国から日本に留学する有為の学生に対して奨学資金を給付し、人材の育成を通して国際的な友好親善に寄与したいという故服部太理事長の遺志に基づいて、服部国際奨学財団は創設されました。その後、東日本大震災を機に募集の範囲を日本人へ拡大し、公益財団法人として瀬田大理事長がその遺志を祖述し、現在までに446名の奨学生を輩出しています。

「奨学金」の果たすべき役割

 私たちが、夢に向かって歩み出そうとする時、まず学修し、実力を身に付けるための時間の猶予が必要です。この「時間」は他人から借りることも貸すことも絶対にできません。次に必要なものは「夢」を抱き、それを実現させる「気力」とそれを支える「体力」です。これらは日々の研鑽によって高めていくものであり、他の人によって支えられることはあったとしても、本質的に本人次第です。そして、学修期間の生活費や学費などを工面する「経済力」が不可欠です。この経済力だけは他人から貸与・給付されることが可能なのです。
 大学生・大学院生には、かけがえのない時間があり、そして、小学校・中学校・高等学校と育んできた夢・気力・体力もあります。しかし、諸般の事情によって経済的な支援が必要な人もいます。ここに奨学金制度が定められた意義があります。
 さて「奨学」とは、教育を受け、学問を修めるように仕向け、勧めるという意味を持ちます。さらに、学業の成果を誉めたたえ、また将来に渡って学修した実力を活かしていくために励まし、支援するという意味を含んでいます。

厳正な審査

 一方で、有限の資金を無限の有為の青年のすべてに給付することはできません。そこで奨学金の給付に際しては厳正な選考が行われます。
 まず、私たちは皆さんから提出された書類を熟読します。そこには今までの努力の成果と夢、そして現在置かれている境遇が記されています。応募した皆さんのキャリアをまず査定し、学修へ取り組む姿勢と進学意志を確認します。私自身は学校の成績評価だけでなく、課外活動の成果や努力の体験など自己紹介文に記された個性に注目しています。さらに面接試験において問いを交えて、本人の抱いている意志と将来の抱負や夢を確認します。
 このように一人の生徒・学生に対して、過去・現在・未来という三つの視点からしっかりと人物を「みる」ことを心がけています。

「場」を作り、奨学生の将来を支援する

 当財団が大切にしていることは、奨学生一人一人の「将来を支援する」ということです。そのため、奨学生同士の交流の場として奨学生証書授与式や生活状況報告会・文化講演会・研修旅行などを開催しています。これらの諸行事には、会食の席がととのえられ、奨学生のOB・OGも参加し、学校も学年も出身地も異なる学生たちにとっての異文化交流の場となっています。
 『活動報告書』(年報)に掲載された奨学生のレポートには、彼らの想いが綴られています。
 まず、様々なバックグランドをもつ同世代の奨学生が現在取り組んでいる課題を語り合い、異口同音に視野を広げることができた喜びが記されています。身近な夢から遠大な夢にいたるまで、周りの人との意見交換を通じて、自分自身の意志を確認し、改めて自分の夢を実現するための実力を身につけたいという意志を確立していきます。
 また、研修旅行がコミュニケーション力をつける場となることにより、自らの成長を自覚し、異文化交流を通して自国の文化についての興味を深めたという実感は、国際化していく現代社会において大切な気づきです。そして、国籍、出身地、学年、学問の領域の異なる人との交流が、どれほど自分にとって有意義なものであるかを実感するのです。服部奨学生となって得られたものは「かけがえのない親友との出会い」であり、いつでも帰ることのできる「父なる服部国際奨学財団」であると綴っています。

人生を豊かにする人間教育

 奨学金の給付は、決して急場しのぎの策ではありません。それは一人の人間の将来を支えることであると考えています。皆さんは、当財団主催の諸行事への参加を通して、確実に友達の輪を広げ、交流を深めていくことでしょう。交流の場を通して、境遇の異なる友人との出会いが、一人一人の人生をより豊かなものにしていくのです。この人間教育こそ、当財団が大切にしている「将来にわたる支援」であり、創設者服部太の「友好親善」を願う遺志を実現する原点であると私は考えています。
 夢のある人、夢に向かって絶えず前進しようとする人には、必ず励まし支援する人が現れます。服部奨学生として夢と誇りを持って、初期の目的達成に向けて前進していくことを確信しています。